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●目次● ●第1回● ●第2回● ●第3回● ●第4回● ●第5回● ●第6回● ●第7回●
今まで、PN走法の基本を説明してきた。ここまで“作り方”主にを説明してきたが、今回は今までの“作り方”を振り返りつつ、その次のステップ“聞いて走る”について説明しよう。つまり“作って聞いて走る”がセットで出来て初めて速く走るためのPN走法に近づいたといえる。今までのポイントを5か条にまとめてみた。
1.しっかり決めようボキャブラリー、的確・シンプル、景色とリンク
●さて、復習となってしまうが、ノートを作るときのつまりPNの初歩の初歩段階だが、まずどういう言葉を使うかを決めよう。詳しくは前回までのPN講座をみて見てほしいのだが、事前にコドライバーともよく打ち合わせをしておいたほうがいい。レッキ一回目のときドライバーが調子よく“ジャストライト・オーバークレスト・タイトゥン!”といってもコドライバーが意味がわかっても記述する記号を事前に考えていないと“えっ”となってドライバーの集中力もそこで途切れてしまう。とにかく、レッキの1回目は集中力を持続して連続した“ノート作り”することを心がけなければならない。使う言葉は的確シンプルに。“短時間のうちにいかに頭の中を具体的な景色が通り抜けるか”が勝負。つまり的確・シンプルな言葉がしっかり景色とリンクしていなければならないのだ。これには、まずいつもの練習コースでノートを作ることをお勧めする。そうすればおのずと、道の形状とその景色、そしてその走り方(限界スピード)もなんとなく形作られてくると思う。それから、前回までのペースノート作成要領を実践すればより効果的だと思う。
2.”作っていく”のはドライバー、”読む聞く走る”はドラとコドラの共同作業
●このPN、作るのは基本的にドライバーってことを覚えておいて欲しい。その昔、ヨーロッパのシークレットラリー(日本の初級ラリーのように、その場に行かなければどこがSSだかわからないラリー)では、縮尺の大きな地図で林道の形状を読み取りながらペースノートを作るという作業をコドライバーがやっていたという話をある大ベテランに聞いたことがある。だけど、最近のレッキの出来るスポーツ性の高いラリーでは、通常ドライバーが作るのが普通のようだ.詳細の“作り方”は前の号のPN講座第1回、2回をよく読んでくださいね。
●ラリーというのは日本のラリー形態がそうだったようにいままでは、ドライバーとコドライバーは同じクルマに乗っているとはいえ別々の仕事をしていたしていたようなもの。だけどPN走法は、SSを速く走るという同じ目的のために行う共同作業。双方とも考え方を切り替える必要がある。
3.常に先見てジャッジは早く、過去は絶対振りかえらず。
● 実際に走っているときは、コーナーを抜けたらすぐ次のコーナーの様子をうかがっているはず。そのときの思考回路をよく考えて、それと同じように先を見て1回目のノート作成をしよう。レッキまたはその練習でパニックしたときの自分を振り返ってみて欲しい。たいていのパターンが『今のコーナーなんて表現したら言いかな』⇒(クルマはその間にどんどん進む)⇒『エート今のストレートどれくらいかな』『次のコーナーも迫ってきているぞ』⇒『次のコーナーに入っちゃった、ここはなんだ?』……パニック、ではないかな?。こうならないためには冒頭のように“常に先を見るてジャッジは早く”である。また上記のようにパニックしかけたら“過去を振り返らない”ためにすばやく停車するのも大事。(ただし後続車には十分注意!)つまりジャッジが遅いとすべてが後手後手にまわることになる。言いかえればジャッジを速くすることはすべてがいいほうに行くということ。自然に出来るようになるまで訓練してください。これが出来るかどうか、実はここがPN走法会得の最初のハードルかな。
4.ベンドが”見えて”当たりまえ、非常に大事なキョリ感覚。
● PNとは、コーナーのきつさを数字で段階的に表して、知らない道でも走りやすくする・・というようなイメージをもっていませんか?でも、本当に速く走るためのノートはそれは出来て当たり前。大事なのはキョリ感覚だ。コーナーとコーナーの間には必ずキョリが入るのが鉄則であることは前にも書いたが、そのキョリをちゃんと聞いて“次のコーナーはこのくらいのタイミングで出てくるから、立ち上がりで次のコーナーの準備をして・・”とか“つぎは長いストレートだから立ち上がり重視で行こう”とか、目前のコーナー全体の走り方まで組み立てられてこそ本当である。当然、そのキョリもスピードが高ければ、一瞬で走りきってしまうかもしまうこともあろう。つまり作るときにはメートル感覚があれば良かったものが、“早く走る”ためには時間的感覚も必要となってくるんだ。
5. 千里の道はPNから。PN走法は一日にしてならず。
● ラリーのフィールドは千差万別。そして日本のラリーに比べて非常に距離が長い。日本の国内だけでもいろんな道があるのに、海外ラリーともなるとその道の多種多様さは本当に戸惑ってしまう。日本から見るとなんかニュージーランド(NZ)の道とオーストラリア(AUS)の道って同じ南半球の国だし結構似てるのかな・・なんて思う人もいるかもしれない。(私は思ってました)ところが現実は・・。日本の道とNZの道がまったく違うのと同じ位NZとAUSの道は違う。つまり5カ国行けば5ヶ国ともまったく異なった性格の道になっている。ラリードライバーたるものどんな道でも速く駆け抜ける能力を要求される。ある道を何度も練習すれば早くなるのは当たり前。つまりは全く性格の異なる道をたった2回のレッキで地元の人と同等に走ることを要求されるのである。常識からは勝負にならないと考えるのが普通。ところがペースノートを使うとそれが何とかなってくるから不思議。こればっかりはPNをある程度会得しなければ味わえない感覚かもしれない。
●こんな便利なPN。もちろんPN走法は一日にして出来るものではない。繰り返し繰り返し練習して出来るようになるもの。たとえばどんなに難しいと思っていた新曲も繰り返し聞いていれば自然と歌えるようになるでしょ。最初は大変かも知れないけど、とにかく数多くこなして慣れる事。自然に出来るようでなければ限界走行時に聞き取れるわけがないからね。
● ノートを聞くということ
ノートを聞いて走るといっても正直にいって非常に伝えにくい。なぜなら、これは言葉で説明するのが難しいし、また、頭の中での起承転結なのでそれが実践されているかを確認するのが非常に難しいからだ。
下記にこんなチェックをしてみてはどうだろうか。
1: PNを朗読してもらって、頭の中で映像を作っていけるか?
2: PNを読んでもらいながら走行して、次のコーナー、その先がイメージできているか。
3: PNを読んでもらいながら走行して、一定の減速G、横Gですべて走りきることが出来るか。
某走り系漫画に水の入ったコップを車内に置き、その水をこぼさないように走る練習をする場面があるらしいが、それと似たようなことをSTEP3は表現していると思って欲しい。つまり、急ブレーキ急ハンドルがないようにということである。もしPNで先の景色がしっかり予想できていれば、先が巻き込んでいるコーナーなら当然コーナリング中に急激にハンドルを切らず、前もって軽く減速をしつつステアリングを切り足すだろう。ブレ―キングにしても、さしかかったコーナーが予想以上にきつくて強くブレーキを踏んでしまうこともなくなるわけだ。このあたりは、いかに自分に課題を持って練習をするかだと思う。STEP3をスピードを上げていくと今度はラインどりまで影響してくるのがわかるだろう。この究極の形が実戦のラリーにおけるPN走法だ言えばイメージ沸くだろうか。
さきほどの第3条でいつもの練習コースで・・と書いたが、STEP3以上になってくるといろいろな道で試す方が効果的だろう。第1回のPN講座のとおりこれを何十本セットもやれば自然にイメージできるようになってくると思う。トップドライバーは毎ラリー10〜20本とこれを繰り返してるわけだから、数だけでも勝たないと永遠に追いつけないぞ。そうそう、くれぐれも安全運転を心がけてください。
●コドライバーのテクニック
ここで、コドライバーのポイントを書いてみようと思う。幸い私は今までにベテランで非常にすばらしいコドライバーと走ることが出来て非常に幸せに思っている。その中に共通していたものがあったが、これこそがコドライバーの求められるポイントではないかと確信してここに5つにまとめてみた。ドライバーもこの部分をよく理解することでPN走法がより高度なものになるのではないかと思う。
スピード感覚・キョリ感覚
今までの経験から、コドライバーには“キョリ感覚、スピード感覚が優れていること”が一番大事ではないかと思っている。これをもう少し具体的に説明すると、“PNにかかれている文字情報がしっかり映像や時 間感覚となって頭の中で再現できる能力”である。PNの情報にはストレートのキョリが入っているはず。また、“ロング、ベリーロング”などのコーナーの長さの情報も入っていると思う。走っていると当然、40mのストートと100mのストレートでは通過する時間が違う。これは“ロング”などのベンドの補助語においても同様だということは理解していただけると思う。PNを読むときに、これら時間の感覚がなければ、きっとだらだら読んででしまうか、つぎのこPNが“先を走ってしまう”事態にもなりかねない。だからといって、次のコーナーを確認しながらは読んでいたら、ドライバーに遅いといわれるにちがいない。読むタイミングがうまく合わないコドライバーは一度この点を振りかえってみてはどうでしょうか?いままで組んだコドライバーはこの点は完璧だった。“このストレートのキョリおかしくない?”といわれて2回目にトリップ計でチェックするとたいて本当に違っている。それが20mの違いでもである。
ドライバーのメモリー容量を知る
もうひとつ読むタイミングで大事なことは、ドライバーのメモリー容量を考えること。これはいまさら詳しい説明はいらないかもしれない。ドライバーが慣れていないとたくさん読んでも結局は“馬の耳に念仏”、せっかく速く走るためのおいしい情報もまったく無意味。自分もかつて良くあったが“4R・オーバークレスト・アンド・コーション・2Rナロー”といわれたら“コーション”だけが耳に残っていて“なんで危ないんだろう・・”と考えながら走ってずいぶん危ない目にあった。こういう時は、何がコーションなのか探しながら中途半端なスピードで走っているのである。何度も練習をしてドライバーのメモリーを増やすのは当然のことだが、なるべくうまく区切って読めるように工夫するのも心がけたほうがいい。表現の仕方をちょっと変えたり、それでもダメなときは言葉を省いてシンプルにする勇気も必要だろう。いくらいい表現だって走ってるときに聞けないんじゃまったく意味ないもんね。自分の場合、たくさんいわれると最後の一文字だけが頭に残って他はほとんど覚えていない傾向があった。恥ずかしながら。
読む早さ・イントネーション
ラリーコースは千差万別なので、当然何km地点から急にコーナーが連続したトリッキーな区間もあるだろうし、そうでなくてもハイスピードなコースなのにある3つのコーナーだけがごちゃごちゃしているような場面もあろう。そのようなときは当然読む早さもアップしなければ当然読み遅れてしまう。このような区間はよくその区間にアンダーラインを引いたりして“実戦中に速く読む”という記号にしていることが多いようだ。SSの3分の1行った地点から急に5km区間トリキーな区間になるときは、ドライバーには読んで聞かせないが自分で判るように“ここから5km速く読む”と記述しているのも見たことがある。
ロストしない工夫
どんなにいいノートを持っていても、実戦中にロスト(今PNでどの部分を走行しているのかわからず、どこを読んでいいかわからない状態)してはまったく意味がない。ベテランコドライバーだとほとんどないが、ビギナーの頃は必ず経験することかもしれない。これへの対策として、特徴のある構造物(標識やカーブミラーなど)をPNに書いておくとロストしても復帰しやすいようだ。1回目のレッキ中、ドライバーが言うことを書き取るだけで精一杯・・なんて状態だと、こんなポイントを書くこともままならないだろう。この辺は余裕が持てるぐらい精進が必要。ベテランコドライバーは、ノート書き取りながら、ロードブックのコマ図を追っかけ、かつトリップ計をチェックしている。こんな中でも、“今の岩危険だから書いたほうがいいんじゃない?”って注意までしてくれる。ここまでくれば出来すぎ?だと思うけどね…。それからもうひとつ。ロストするのは何もコドライバーの読むタイミングが悪いからだけではないことを言っておきたい。PNはドライバーが基本的に作ると説明したが、その作り方(道の表現の仕方やキョリの取り方)が悪い時にもコドライバーがロストしやすくなることもある。3回レッキを出来る場合には、2回目3回目同じように読み間違えたらこういう可能性も高い。ただし、最近の2回のレッキではわかりにくいかもしれないが・・。ドライバーは今一度反省してみよう。それから、コドライバーの方は自分のせいにされないよう用心しましょう!?
ドライバーをうまくだます
だますというと聞こえが悪いが、いかにドライバーの気持ちをコントロールするかである。ドライバーは常に感情の起伏があるもの。熱くなりすぎれば危険だし、かといって冷静すぎてもタイムが出ない。熱い走りだが気持ちはクールというのが理想なんだけど、それをうまく持っていけるようにドライバーをコントロールできればさらにPN走法という共同作業はさえてくる。判りやすいところで言えば、“ここからは危険だぞ”、“ここからは踏めるぞ”、“今このポジションで後ろとタイム差があるからペースキープで行け”とかペース配分をしてやることも効果的かな。これがPN走法と関係あるの?って思うかもしれない。でも、PN走法が非常にうまくいったときは、実際に操作しているのはコドライバーで、ドライバーはクルマの一部とと感じる時もあるくらいだから、PN走法のなかではコドライバーの主導権が結構左右することもあると思っている。
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